AIブラウザ徹底比較！仕事が変わる次世代ツール4選【2025年版】

AIブラウザという新しいツールの登場で、私たちの仕事の進め方が根本から変わろうとしています。従来のブラウザが単にWebサイトを「見る」ための窓だったのに対し、AIブラウザは業務を「代行」してくれる賢いアシスタントです。この記事では、AIブラウザの基本から、今注目すべき4つの主要ツール「Dia」「Fellou」「Comet」「Chrome(Gemini搭載)」までを徹底比較します。それぞれのツールの特徴や得意なこと、無料版でできること、セキュリティ面の注意点、そして「あなたの会社に最適なのはどれか」までが分かります。

この記事を読けば、自社の生産性を飛躍させるための、最適なAIブラウザ選びができるようになります。

AIブラウザとは？従来品との違い

AIブラウザとは、生成AIを組み込んだ新しい形のWebブラウザです。情報収集や資料作成、データ入力といった日常的な業務を自動化する機能を持っています。

従来のブラウザとの一番の違いは、ユーザーの「指示の意図」を理解して、自律的に作業を進める点にあります。例えば「競合A社とB社の製品情報をまとめて」と指示すれば、複数のWebサイトを横断して情報を集め、比較レポートを作成してくれます。これまで人間が手作業で行っていた面倒なタスクを代行させることで、業務の大幅な効率化が期待できます。

主要AIブラウザ4製品の比較表

現在、市場をリードしている4つのAIブラウザの特徴を一覧表にまとめました。それぞれ得意なことやターゲットとする利用者が異なるため、自社の目的と照らし合わせながら確認してください。

【知的作業を効率化】Dia

Diaは、特にリサーチや分析といった知的作業が多い職種におすすめのAIブラウザです。複数のウェブページやPDFファイルの内容を横断的に比較・分析する能力に長けています。まるで優秀な副操縦士のように、情報収集から資料作成までのプロセスを強力に支援してくれるのが特徴です。

その目的は、単なる情報収集ツールに留まらず、知的作業そのものを再定義することにあります。コンサルタントや研究者、戦略マーケターなど、日々大量の情報を扱う専門職の生産性を飛躍させるために設計されました。最近、業務管理ツール大手のAtlassianに買収されたことで、今後はJiraやConfluenceといった企業向けツールとの深い連携が期待されています。現状はmacOS限定ですが、デザイン性の高いUIと高度な分析機能で、多くのナレッジワーカーから注目を集めているツールです。

【注意】対応機種はmacOS（M1チップ以降）のみです。

Diaのコンセプト

知的作業の再定義を目指して開発されました。単なる情報収集ツールではなく、リサーチや分析、コンテンツ作成といった一連の作業を知的に支援するアシスタントとなることを目的としています。

こんな企業におすすめ

コンサルタント、研究者、マーケティング担当者など、日々大量の情報を扱ってレポートや企画書を作成する企業に最適です。Atlassian製品（Jira、Confluence）との連携が強化されるため、これらのツールを導入している企業にも大きなメリットがあります。

選ぶべきポイント

一番の強みは、開いている複数の情報源（Webページ、PDF）から、共通点や相違点を洗い出すといった高度な分析ができる点です。YouTube動画の要約機能も優れており、効率的な情報収集を実現します。

無料版の範囲

現在ベータ版として提供されており、主要なAI機能は無料で利用できます。AIチャットや資料の要約、横断分析、簡単な文章作成支援まで、基本的な機能は無料版で十分に体験可能です。GPT-4.1ベースの高性能チャットも回数制限なく使えます。

実際の使用感

個人的には元々のARCというブラウザを愛用していたので現在もこちらをかなり使っています。例えば英語のソースを読みながら理解できないことを翻訳してもらって理解を含めたりとかしているのでかなりお気に入りのブラウザです。例えば、RedditやGitHubで海外のソースからAIの最先端の勉強などをしたいので、学習を強化するのに使えるのですが、致命的なデメリット、Mac専用であること。会社はWindowsなので、個人のパソコンにしか入れられないことです。

【業務を自動化】Fellou

Fellouは、自らを「世界初のエージェント・ブラウザ」と名乗る、業務自動化に特化したツールです。データ入力やSNS投稿、経費精算といった定型的な作業を、ユーザーに代わって自動で実行します。その最大の特徴は、Webサービス間だけでなく、PC上のファイルやアプリケーションまでを横断して、複雑な業務フローを自動化できる点にあります。

コンセプトは、単にユーザーを「支援する」のではなく、ユーザーに代わって「自律的に行動する」こと。例えば、請求書PDFからデータを読み取って会計ソフトに入力し、Slackで報告するといった一連の流れを完全に自動化できます。AIが実行する作業計画は事前に人間が確認・修正できるため、安心して業務を任せることが可能です。営業事務やマーケティング部門など、定型的なPC作業が多い現場の業務効率を劇的に改善する可能性を秘めています。

【対応機種】MacとWindowsの両方に対応しています。

Fellouのコンセプト

ユーザーを「支援する」だけでなく、ユーザーに代わって「自律的に行動する」ことを目指しています。ウェブサイトの操作だけでなく、パソコン上のファイルやアプリケーションも操作できるため、システム全体のエージェントとして機能します。

こんな企業におすすめ

営業事務、マーケティング、人事など、定型的なPC作業が多い部署の業務効率化を目指す企業に向いています。特に、複数のシステムに同じ情報を手入力しているような場合に、その効果を大きく発揮します。

選ぶべきポイント

Webサービスとデスクトップアプリを横断して作業を自動化できる点が、他のツールにはない大きな差別化要因です。AIが作成した作業計画を人間が事前に確認・修正できるため、安心して業務を任せることができます。

無料版の範囲

無料版でも、基本的な自動検索（ディープサーチ）やタスク自動化の機能を試せます。複数のSNSを横断した情報収集や、簡単なレポート生成といった主要なAI機能を体験することが可能です。より高度な自動化機能は有料となります。

実際の使用感

こちらに関してはAIエージェントというところで作業をできるということで、Googleスプレッドシートなどの文字入力などの作業をお願いしていましたが、思うような結果が得られず、一旦メインブラウザとしての使用はやめています。

【検索を再発明】Comet

Cometは、検索エンジン「Perplexity」を開発した企業が提供するAIブラウザです。従来の検索のようにリンクの一覧を表示するのではなく、ユーザーの質問に対して、出典付きの的確な答えを直接生成する能力に優れています。「あなたのために働くブラウザ」をコンセプトに、情報検索という行為そのものを、より速く、より直接的な体験へと変えることを目指しています。

その中核をなすAIの回答生成能力は非常に高く、複雑な問いに対しても信頼性の高い答えを瞬時に得られるのが最大の強みです。また、単に検索するだけでなく、Gmailと連携してメールの下書きを作成したり、タブを自動で整理したりといった、具体的なタスクを実行するアシスタントとしても機能します。情報収集の質とスピードを最優先するパワーユーザーや、新しい技術をいち早く試したい企業に最適です。ただし、新しいツールであるため、セキュリティ面の動向には注意が必要です。

【対応機種】WindowsとMacの両方で利用可能です。

Cometのコンセプト

「あなたのために働くブラウザ」を掲げ、AIによる検索とタスク実行を中心に設計されています。従来の「検索」という行為そのものを、より効率的で直接的な「回答の入手」へと変えることを目指しています。

こんな企業におすすめ

情報収集を業務の核とするパワーユーザーや、新しいテクノロジーを積極的に試したいアーリーアダプター層のいる企業におすすめです。Gmailやカレンダーと連携し、メールの下書きやスケジュール調整なども手伝ってくれます。

選ぶべきポイント

AIによる回答生成エンジンの性能が非常に高く、複雑な質問に対しても的確な答えを素早く得られる点が魅力です。ただし、過去にセキュリティ面の脆弱性が指摘されたこともあり、導入の際は注意深く検討する必要があります。

無料版の範囲

2025年10月から基本機能が完全無料化されました。AIアシスタントによるWeb検索、タブ整理、メールの下書きといった日常業務で使う機能は、無料版で問題なく利用できます。Webページから要点を抽出したり、情報を表形式に整理したりといった作業も可能です。

実際の使用感

もともとPerplexityをよく使っていたのでそれと同じような使い方を気軽にできるのが嬉しいポイント。Googleのディープリサーチ、ジミニのディープリサーチをしてしまうと、毎回10分ほど待たないといけないですが、こちらに関しては、そこまでソースを調べて検索するわけではありませんが、1つ調べて、回答結果を得られて、そこから気になるところをさらに調べて、という感じで、芋づる式で網羅的に知識を得ていったりとか、比較していったりするには非常に有効です。それらをまとめて、さらにGeminiでディープリサーチをかけて、しっかりとしたレポートなどを作成するという形が個人的には好きです。 なぜ最初にGeminiを使わないかというと、外したときに10分かけて作ったレポートが読み直してあまり使えないなみたいな感じでタイムロスになるのを防ぐためです。

【既存環境を強化】Chrome(Gemini)

Googleが提供するChromeブラウザは、自社の高性能AI「Gemini」を統合することで、AIブラウザとしての機能を強化しています。新しいツールを導入するのではなく、世界で最も普及しているブラウザ上でAIの恩恵を受けられる点が最大の強みです。Googleの戦略は、既存の圧倒的なシェアとユーザー基盤を活かし、Chromeというプラットフォームの体験をAIで向上させることにあります。

そのため、多くのユーザーにとって学習コストがほぼゼロで、導入のハードルが極めて低いのが特徴です。GmailやGoogleドキュメントといった日頃使っているツールとの連携は非常にスムーズで、業務の流れを妨げることなくAIのサポートを受けられます。「先週見た木の机のサイトは？」といった曖昧な言葉で閲覧履歴を検索できる機能など、Googleならではの便利な機能も充実しています。多くの企業にとって、最も現実的で安全な選択肢と言えるでしょう。

【対応機種】US展開のみで、Chromeが利用できる全ての環境で展開されます（段階的に提供）。

Chrome(Gemini)のコンセプト

新しいブラウザを作るのではなく、圧倒的なシェアを持つ既存のChromeブラウザの体験をAIで強化するという戦略です。膨大なユーザー基盤と、Googleの各種サービスとの連携を最大限に活かすことを目指しています。

こんな企業におすすめ

すでにGoogle Workspace（Gmail、カレンダー、ドキュメント等）を業務の中心で利用している、ほぼ全ての企業におすすめできます。追加の学習コストなしで、普段の業務フローの中に自然な形でAIによる効率化を取り入れることが可能です。

選ぶべきポイント

Gmailやドキュメントなど、日頃使っているGoogleのサービスとシームレスに連携できる点が最大のメリットです。「先週見た木の机のサイトは？」といった曖昧な言葉で閲覧履歴を検索できるなど、かゆい所に手が届く機能が充実しています。

無料版の範囲

Googleアカウントがあれば、標準モデルのGeminiを無料で利用できます。文章の生成や要約、翻訳、質問への回答といった機能は、日常業務で使うには十分な性能です。GoogleドキュメントやGmailとの基本的な連携も無料の範囲で可能です。

AIブラウザのセキュリティ比較と注意点

AIブラウザは業務を効率化する一方、企業の情報を扱う上でセキュリティ対策は不可欠です。ここでは、各ツールのセキュリティ上の特徴と、安全に利用するためのポイントを解説します。

各ツールの特徴

• Dia: AIとのやり取りの一部は、外部サーバーに送信される可能性があります。そのため、個人情報や社外秘の情報をチャットに入力する際は注意が必要です。履歴などの情報は暗о化されてクラウドに保存されます。

• Fellou: 端末内（ローカル）と仮想空間で作業履歴を保護する仕組みがあります。パスワード等の入力を禁止する設計になっており、作業ごとに権限を細かく設定する必要があるなど、安全性を重視しています。

• Comet: AIの操作内容は基本的にサーバーに送信され、AIの学習にも利用されます。過去に外部から意図しない操作をされる危険性（プロンプトインジェクション）が指摘されており、対策が進められています。

• Chrome(Gemini): Googleの強固なセキュリティ基盤が特徴です。不審なサイトをリアルタイムで警告したり、パスワード保護を強化したりする機能があります。データは暗号化され、安全に保管されます。

やってはいけないこと

以下の行為は情報漏洩や不正アクセスのリスクを高めるため、特に注意が必要です。

対策のポイント

安全にAIブラウザを活用するために、以下の4つのポイントを徹底しましょう。

1. AIに重要情報を渡しすぎない。 公式サイトでセキュリティに関する情報を必ず確認する。

2. 権限やAPI連携は必要最低限にする。 定期的に見直し、不要になった連携はすぐに解除する。

3. 公式サイトのソフトや拡張機能のみを導入する。 提供元が不明なものは利用しない。

4. 社外のPCや公共の端末は利用しない。 必ず自分が管理する安全なデバイスで作業する。

自社に合うAIブラウザの選び方

自社に最適なAIブラウザを選ぶには、まず「どのような業務を効率化したいか」を明確にすることが重要です。情報収集や分析が中心ならDia、定型業務の自動化が目的ならFellouが候補になります。最先端の検索機能を試したいならComet、既存の業務環境を大きく変えずにAIの利便性を享受したいならChrome(Gemini)が最も適しています。

加えて、セキュリティ要件も重要な判断基準です。機密情報を扱う機会が多い場合は、Fellouのようにローカルでの履歴保護や権限設定が厳格なツールや、Chrome(Gemini)のように強固なセキュリティ基盤を持つツールが安心です。

コストをかけずに試したい場合は、無料版の機能範囲で判断するのも一つの手です。

• Dia: 資料分析やチャットなど主要機能がほぼ制限なく無料で使えます。

• Fellou: 基本的な自動検索やレポート生成は無料で試せます。

• Comet: Web検索やメール下書きなど、日常的なアシスタント業務は無料で十分こなせます。

• Chrome(Gemini): 文章作成やGoogleサービス連携など、日々のAIサポートは無料で十分です。

まずは無料プランから試してみて、自社の業務との相性を見極めるのが良いでしょう。未来の働き方を左右する重要なツールとして、ぜひ導入を検討してみてください。

※各サービスとも、月額課金で履歴保存の上限アップやAPI連携、より複雑な処理への対応などが追加されます。